Wine上のRPGツクール2000/2003作品の動作

Last modified: 2020-12-02

Wine内蔵版のquartzdevenumは改善されてきているため、最近のバージョンではネイティブDLLを使用しなくても動作する場合が多い。dsoundはRPGツクールXP/VX系でMIDI再生に必要になるが、RPG_RT.exeに対しては不具合の原因となるため、winecfgやレジストリ設定で内蔵版を強制するようにしたほうがよい。
Wine 5.0.x(安定版), 5.x(開発版)では内蔵版quartzにおけるMP3ファイルの扱いが変わったことでwinegstreamerが必須となり、曲がループしない不具合(5.3で修正)や曲によってループ時に音の鳴り方がおかしくなる不具合があるが、ネイティブ版quartz(Winetricksのquartz)でいずれも回避できる。

RPGツクール2000,2003作品に対しては、CSMTは無効化したほうがCPUの負荷を抑えられて快適に動作する。

フォント描画の問題点と回避策

フォント置換

Winetricksでfakejapanese_ipamonaをインストールすることを推奨する。

RPGツクール2000/2003作品では “MS ゴシック” フォントが指定されており、かつその内蔵ビットマップが使用されることが想定されていることから、 “MS ゴシック” に近く、かつ読みやすい内蔵ビットマップの含まれたフォントで置換することが望ましい。

アンチエイリアシングを無効にして実行する

バージョン1.5.18以上のWineでは、デスクトップ環境などのフォントのアンチエイリアシング設定が有効のときにアンチエイリアシング処理によって文字が太くなって読みづらくなっており、以下の2つの対処を実行することで内蔵ビットマップが表示されるようにできる。

ClientSideWithRenderの無効化

以下のWine用レジストリをレジストリ エディタで取り込む。これはRPG_RT.exe以外の動作には影響しない。

  • rm2k2k3_cswr.reg (0 キロバイト)
  • 代わりにコマンドで設定する方法もある。

    $ (WINEPREFIX=[Wine環境の場所]) wine reg add "HKEY_CURRENT_USER\Software\Wine\AppDefaults\RPG_RT.exe\X11 Driver" /v "ClientSideWithRender" /t REG_SZ /d "N"
    

    fontconfigの設定ファイルの強制指定

    まず、下のようなfontconfig用設定ファイルを用意しておく。

  • fonts.conf.noaa (0 キロバイト)
  • そしてRPG_RT.exe実行時に環境変数FONTCONFIG_FILEでこのファイルの場所を指定して作品を実行する。

    (フルスクリーンで実行)
    $ (WINEPREFIX=[Wine環境の場所]) FONTCONFIG_FILE=/path/to/fonts.conf.noaa wine /path/to/RPG_RT.exe
    
    (仮想デスクトップで実行)
    $ (WINEPREFIX=[Wine環境の場所]) FONTCONFIG_FILE=/path/to/fonts.conf.noaa wine explorer /desktop=rpg,320x240 /path/to/RPG_RT.exe
    

    XWayland使用時のフルスクリーン関係の問題

    Wayland環境のXWayland上では解像度の関係でフルスクリーンで起動できない(場合がほとんどだと思われる)。

    一方、仮想デスクトップを使用しても、極端に動作が遅いことがある(Ubuntu 20.10上のWeston,GNOME Shell,Plasmaの全てで確認)。

    ウィンドウモード起動(3番目の引数をWindowにする)を行うと正常に動作する。

    (ウィンドウモードで実行)
    $ (WINEPREFIX=[Wine環境の場所]) FONTCONFIG_FILE=/path/to/fonts.conf.noaa wine /path/to/RPG_RT.exe 0 0 Window
    

    もう一つ、Direct3Dのバックエンドをgdiにして仮想デスクトップで実行する方法もあるのだが、これをせずにウィンドウモード起動をするのと比べてCPU使用率の合計が高くなるため、おすすめできない(ここでは扱わない)。

    RPGツクール2000作品

    RPGツクール2000作品 (旧RPG_RT.exe)

    “ASCII” のロゴがはじめに表示される古いRPG_RT.exe

    Nepheshel 2.03 on Wine 1.1.41

    • 開始からエンディングまで確認
    • 動作は安定しており、突然の異常終了は一度もない
    • MIDI形式のBGMのみのため、環境によってはMIDIファイル再生の準備が必要

    RPGツクール2000作品 (新RPG_RT.exe)

    “enterbrain” のロゴがはじめに表示される新しいRPG_RT.exe。大規模アップデートが適用されてMP3にも対応している。こちらだけ動かなかった時期もあるが良好に動作するようになった。

    イストワール (histoire) 2.03 on Wine 1.4.1

    • 配布ファイルのLHA書庫histoire203.lzhはWine上の7-Zip File Managerで展開
    • “はじめから” で新規に “中級者以上モード” で開始し、最終ボス戦後のエンディングまでを確認・主人公一人
    • MIDI形式のBGMはないので、MIDIファイル再生の対策は不要
    • quartzdevenumのネイティブDLL使用とwinegstreamerの無効化を行った状態で確認

    MysticStar on Wine 1.8.3

    • マップの切り替わり時のエフェクトのところで少し固まるような挙動だったが、Wine 1.9.14以上では改善されて問題なくなった
      • “Seraphic Blue Director’s Cut” の戦闘への切り替わりや戦闘時のメニュー表示のタイミングなど、他作品でも重い場面が改善されている
    • このパッチ(f7b6a7d)を1.8.3に適用した上でdsoundを内蔵版にした状態で良好な動作を確認
    • 開始からエンディングまで確認
    • Wine 1.9系にてwinegstreamer使用時に一度再生された曲がその後再生されなくなる問題があったがすぐに解決し、2.0時点では問題なくなっている

    RPGツクール2003作品

    動作は基本的にRPGツクール2000作品に近いが、自分が試した範囲内では大きな不具合は確認できなかった。

    ゆめにっき 0.10 on Wine 1.1.22

    • 開始からエンディングまで確認
    • 動作は安定しており、突然の異常終了は一度もない

    ABYSS ARISE FS on Wine 1.1.22

    • 開始からエンディングまで確認
    • 動作は安定しており、突然の異常終了は一度もない
    • MIDI形式のBGMのみのため、環境によってはMIDIファイル再生の準備が必要